株式会社芹工務店
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芹澤 覚|会長 2014.07.29

快適シリーズ 13  住宅の結露2

前回に続いて「結露」の話をしましょう。

壁体内の結露のメカニズムをもう少し詳しく話します。

 

冬の室内の空気は外部に比べて暖かく、含む水蒸気も多くなります。

水蒸気は0.0004μmという非常に小さな粒子なのでクロスやプラスターボードは通過してゆきます。

そして、壁内に入った水蒸気は断熱材に使われるグラスウールの中を対流して自由に行き来します。

なぜならグラスウールは綿と同じような形態ですから空気や水蒸気の移動をブロック出来ないのです。

すると壁内の外気に近い方では空気の温度が下がり、空気は水蒸気を保持しきれなくなって結露してしまいます。

結露した水分は外壁下地の合板や柱、間柱に吸収されて

水分を多く含んだ状態になった外壁下地の合板や柱、間柱はカビて次第に腐ってゆきます。

 

ですから、グラスウールなどの断熱材の場合は室内壁下地のプラスターボードの裏側にポリエチレンフィルムなどのベイパーバリア(防湿層)を張って水蒸気の侵入を防ぐ必要があります。

でも、ベイバーバリア(防湿層)はスキマを作らないために精度の高い仕事が要求されます。

シートの継ぎ目、コンセントやスイッチ、換気穴などの取合いの密封は注意力と経験と技術の高さが要求されます。

また、グラスウールなどは柱や間柱の間に充填する際に端っこがシッカリ充填されず、スキマが出来ればそこも、即、結露につながります。

 

一方、夏は外気のほうが室内よりも温度が高く水蒸気も多く含んでいるので冬と同じ現象が壁体の外側から起きるのです。

ですから、夏用に外壁側にも同じベイバーバリア(防湿層)が必要かと思われます。

温度の高い外気が壁体内に侵入することを防がなければなりません。

私はそのように考えています。

でも、グラスウール等の断熱材を使う工法では壁体の外側には透湿防水シートを貼って

壁体内の水蒸気を外に吐き出すような形にしています。

透湿防水シートとは0.5μmから3μmまでの微細な穴を持ち、直径100μmの水の粒子は防ぐが、0.0004μmの水蒸気粒子は通すという性質のものです。

 

このへんから私も断熱工法について分からないところになるのですが

外側には透湿防水シートを貼るという工法は北海道の様に

夏の気候を考えなくて済む地方の工法なのではなかろうかと考えています。

 

外から湿気の多い空気が壁体内に入ることはあまり考慮せずに

室内から壁体内に入った水蒸気を室外側に吐き出そうという考えなのでしょうか?

 

芹工務店は壁体内には室内側からも外気側からも水蒸気は出入りさせないという考え方に従って工法を考えました。

そして、アイシネンが持つ気密性によりアイシネン自体がベイバーバリアの役を担うと考えて

アイシネンを採用しています。

 

つまり、アイシネンが室内側にも外気側にもベイバーバリアとなっていると考えています。

 

アイシネンの気密性については「快適シリーズ10 現場発泡断熱材」の稿でも以下の様に書きました。

「アイシネン」の通気性はコア発泡体の通気率が75paの圧力で82mm厚さの通過量が0.0080リットル/s-㎡です。

これは気密性の高さをしめすものです。

 

コレによって室内側はクロスやプラスターボードを浸透してくる水蒸気をプラスターボードの裏側で止めて室内側の湿気状態によっては送り出し

外気側も通気層の中で構造用壁合板の外側に透湿防水シートを貼って通気層とアイシネンの間で水蒸気を出入りさせて

壁体内にはほとんど結露の原因となる水蒸気を入れさせないと考えています。

 

結露対策のポイントは「水蒸気を含んだ空気の移動」「温度差が発生する箇所」です。

この二つがなければ「結露」しないのです。

 

芹工務店で勧めている断熱材のアイシネンは100倍に膨らむ現場発泡材と言う性質上スキマを残しません。

アイシネンの気泡は直径100μm前後でその穴のひとつひとつに不連続な、やっと水蒸気を通すくらいの穴が開いています。

その構造がごくわずかの調湿機能を持ちアイシネンの表面近くで水蒸気のやり取りをします。

 

上記のような構造上、アイシネンの内部ではグラスウールのような空気の対流を起こすような連続した空間はないので、アイシネン内部での対流による結露などは起きないのです。

 

アイシネン固有の機能がベイパーバリアを不要とし、断熱機能の安定を保つのです。

 

つまり、アイシネンの中では「水蒸気を含んだ空気の移動」はほとんど無い。

そして、アイシネンの断熱性ゆえ壁体内のアイシネンを挟んだ室内側のアイシネンとプラスターボードの間でも、外気側のアイシネンと構造用壁合板の間でも「温度差が発生する箇所」は無い。

ですから、壁体内の「結露」は発生しないのです。

 

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