芹澤 覚|会長 2014.07.16
前回の「高気密・高断熱住宅の作り方1」の続きです。
快適な生活を確保するための施工方法を芹工務店はいろいろと試行錯誤して以下のように決めました。
目標とする高気密、高断熱の基本性能
気密度はC値を次世代省エネ基準(Ⅰ地域以上)の1.0cm2/m2以下
断熱度はQ 値を次世代省エネ基準(Ⅱ地域以上)の1.9W/m2K以下
としたいと考えます。
これにより、1階床と2階天井の温度差を2℃程度とする。
そのための、施工要領
(断熱材、隙間処理、開口部仕様)
1. 通気層は壁、屋根ともに設ける。
屋根は12mm構造用合板の野地板の下にPET不織布で出来た屋根用のスペーサーで30mmの通気層を作ります。
その上の、屋根仕上げ材はカラーベスト、金属板、瓦などです。
屋根棟は全長換気棟とする。
ルーススペーサーの下は160ミリの厚さでアイシネンを施工します。
2. 壁は9mm構造用合板(1.0Mx3.0M)を耐力壁として、
その外側に透湿防水シートを貼り、通気胴縁(20mm厚)を釘止めします。
通気胴縁の外側にサイデイングや塗り壁や金属板の外壁仕上げとなります。
壁の中はアイシネンで充填します。
給排水の壁内配管、電気配線、壁貫通パイプ等は断熱材吹付け前に施工しておく。
通気層は漏水と輻射熱防護の為に施工するものです。
3. 壁や屋根の断熱性能が増すと次に工夫する場所は開口部です。
建物のQ値計算をすると、家全体の熱吸放出は外壁と開口部と換気が約30%ずつで、残りの10%が屋根やバルコニーや床下となっています。
お金はかかりますが、樹脂サッシにLow-Eガラス以上の性能を確保するつもりです。
YKK APW330の樹脂ペアガラスサッシ以上にしたいと思っています。
玄関ドアは断熱仕様とする。
開口部はヒートロスあるいは外部からの輻射熱などの影響を考えると南面にはむやみに大きな開口をあけないようにする。
また、庇や外付ブラインドは有効な遮熱工法の手段として積極的に採用する。
サッシ廻りは別に手作業で発泡ウレタンを充填する。
気密テストはアイシネン施工直後に実施して結果を報告します。
4. 床下は基礎断熱とする。
ベタ基礎床盤の内の中央部は侍中熱からの影響が大で年間を通じて約15℃と一定しているので特段の断熱は必要ありません。
ベタ基礎外周の立上リ部分は外気の影響を受けます。
また基礎の外の地面も外気の影響を受けて夏や冬は温度が変化しますし、
それが基礎下を回りこんで建物内にも影響を及ぼします。
基礎外周の立ち上がり部と外周周りのベタ基礎床盤の90センチまではアイシネンを100ミリ施工します。
外周基礎立上天端と土台の間に基礎パッキンは施工しないで気密テープを貼って通風を遮断します。
5. 床下を囲ってしまうと当然、床下の湿気が心配です。
床下には中間ファンを設置して床下の空気を24時間365日、
外に放出します。
床下から空気を吸い出すと床のスキマやユニットバスの周りなどから
室内の空気が入り込み一年中、室内と同じ環境になります。
室内は熱や湿気のロスを無くすために壁付きの熱交換型ファンで
一年中換気します。
2階の天井裏やトイレ、ユニットバスは独自に換気扇を設置します。
もう一つ、現在、検討しているのは床下に、冬は温かい空気を
夏は涼しい空気を送り込んでそれが
ルーバーから室内に出てくるような循環です。
うまく行けば、床下も室内と同じ温度、湿度になって
足裏も気持ちが良くなるはずです。
そうしたらエアコンだけで夏冬の冷暖房が低コストで済みそうです。